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RESEARCH

研究内容

私たちの研究室では、主に脳神経疾患のメカニズムやヒトの初期発生機序に焦点を当てています。特に、ゲノムの“多様性”に基づく個人の違いや、エピゲノム状態によって影響される“性差”がどのように関連しているかを解明することを目指しています。具体的には、疾患発症・程度に影響するようなノンコーディングゲノム領域の機能解明や、女性特有のX染色体エピゲノム(X染色体不活化)に焦点を当て、性特異的な脳神経疾患や初期発生に関わる研究を行っています。

 

私たちは、ヒトES/iPS細胞を用いて、ゲノム編集技術、オルガノイド技術、イメージング技術、シングルセルゲノミクスなど、最先端の生命医学研究を行っています。

ヒトES/iPS細胞は万能細胞と呼ばれていますが、生体には存在しません。そのため、試験管産物特有の異常が生じることがあります。特に、女性ES/iPS細胞におけるX染色体不活化の破綻は、全ての女性ES/iPS細胞を用いた病態・バイオモデリングに影響することが報告されています。

 

2022年、私たちはゲノム編集の新たな側面を活用し、女性ES/iPS細胞におけるX染色体不活化状態を正常化することに成功しました。この技術を用いて、ヒトの多様性や性差の観点から、神経疾患の病態解明、器官形成のメカニズム解明、そして創薬開発を目指した研究を行っています。

テーマ1:脳神経疾患

精神疾患は性差が報告されている疾患の代表的な1つです。自閉スペクトラム症や統合失調症などをはじめとした精神神経疾患は、個人差が大きく、発症機序は不明な事が多いのが現状です。私たちは、患者さん由来のiPS細胞や多くのES/iPS細胞から脳オルガノイドを作製することで、病態の試験管モデリングからiPS創薬までを目指した研究を行っています。また、精神疾患・神経変性疾患におけるノンコーディングゲノム領域の機能解明から、精密な病態解明と個別化医療に向けたex vivoモデリングを実施しています。

テーマ2:ヒト初期発生

ヒトの初期発生は、脳の発生過程と同様に、そのメカニズムはほとんどが謎に包まれています。性特異的なエピゲノム現象であるX染色体不活化は、ヒトの受精後約1週間で劇的に変化します。しかし、このプロセスはマウスなどの他の動物とは異なる点が多く、ヒトの細胞で研究する必要があります。最近では、ヒトES/iPS細胞を使ってヒト初期胚に似た細胞を作り出す技術が発展しています。私たちは、これらの技術を使ってヒト初期発生のメカニズムを解明することで、先天性異常や発生障害の理解を深め、不育症の要因を特定しようとしています。

画像6(ヒト初期胚研究).jpg
Collaboration

発展的な医学研究では、異分野融合は不可欠です。私たちの研究室では、ゲノム多様性に基づく脳神経発生・疾患解明において、東京大学医科学研究所 熊坂夏彦研究室(デジタル・ゲノミクス分野)とのWet & Dry研究体制をとっています。こちらもご覧ください(https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/lab/hgclink/page_00406.html

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